Project/Area Number |
05854016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
素粒子・核・宇宙線
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
阪上 雅昭 福井大学, 教育学部, 助教授 (70202083)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 経路積分 / コヒーレント状態 / 半古典近似 / トンネル過程 |
Research Abstract |
ワインバーグ・サラム理論(W-S理論)でのバリオン数非保存過程は、トポロジーとバリオン数の異なる真空のあいだでのトンネル効果により引き起こされる。従来は、このトンネル効果およびそれにより生じる非平衡過程が定常的であると仮定してきた。これはトンネル過程により広がっていく波動函数の各部分が互いに干渉することを無視していることに対応する。非定常性や干渉の効果を取り入れることでバリオン非保存過程の反応率がかなり下がる可能性があるので、この研究が宇宙論に及ぼす影響は大きい。 そこで、コヒーレント表示での経路積分を用いたトンネル効果の取り扱いを研究した。従来の経路積分では、トンネル効果を議論するためには時間を虚軸方向に解析接続しなければならず、そのため定常過程しか取り扱えなかった。一方、コヒーレント表示経路積分は、実時間のままでしかもどのような初期・終条件に対しても準古典近似が可能なので非定常過程が議論できる。具体的にはEckhardtポテンシャルの系について、非定常トンネル過程の計算を行った。境界条件を満足する複素古典軌道を数値的に求め、作用積分を実行し、それにより得られるTransition Amplitudeから各時刻での波動函数を求めた。その結果 (1)波動函数のうちポテンシャルを乗り越える部分には、複素古典軌道の中で複素平面に開いた非常に狭い窓を通るものが寄与する。 (2)上の軌道の中で、直接窓を通り抜けるもの以外、つまり一度他のリーマン面に移り、そこに開いている窓を通過する古典軌道が、トンネル効果に寄与する。 ということが明らかになった。
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