Research Abstract |
Pb系3201相Pb_2Sr_<2-x>La_xCu_2O_<6+delta>はLa濃度のxの固溶域が狭く、局所的に組成ずれの生じやすい通常の固相法では、単相化が困難な物質である。錯体重合体は、原料を一度溶液することで均質性や反応性を高める、いわゆる液相法の一つである。このたび、従来の錯体重合法の欠点であった、加熱攪拌の際に生じる沈殿の成果を抑え、均質性がさらに高まるように、修正を加えた。修正点として、(1)溶解度の高い原料(硝酸塩、酢酸ストロンチウム、炭酸イットリウム、酢酸カルシウム、酢酸銅)を用い、硝酸を加えない。(2)クエン酸の添加量を従来の5倍、すなわち、クエン酸:総金属イオン=5:1(モル比)にする。(3)エチレングリコールを使用しないことである。この方法により、Pb_2Sr_<2-x>La_xCu_2O_<6+delta>(X=1.1)の前駆体を作製し、焼成時の温度,ガス雰囲気、時間を変化させた結果、3201相は、100%N_2および1%O_299%N_2の両雰囲気中で単相となることんわかった。また、2回焼成(100%N_2,750℃,20h+1%O_299%N_2,750℃,20h)および低温アニール(100%N_2,475℃,60h)による試料の良質化を行ったところ、通常の固相反応法では得られない、金属的な電気抵抗率の温度依存性を示す試料が得られた。超伝導転移温度T_cは37Kであった。また、La濃度xを0.8から1.5まで変えてLaの固溶域を調べたところ、x=1.1でのみ単相化しないことがわかった。さらに、T_cが100Kを越えると期待されていながら、合成に成功していないPb系3223相Pb_2Sr_<2-x>La_xCa_2O_<10+delta>(X=1.0)の合成を、焼成雰囲気,温度、時間を系統的に変えて試みたが成功しなかった。しかし、酸素分圧を0〜1%の間にすると合成できるかもしれないことがわかった。
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