非平衡散逸結合系のダイナミックス -レーザーにおける自己組織化過程-
Project/Area Number |
05854022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
橋本 智香子 (内山 智香子) 理化学研究所, 無機化学物理研究室, 基礎科学特別研究員 (30221807)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 量子統計力学的レーザーモデル / 非平衡開放系 / 自己組織化過程 / 協同現象 / 量子多体系 / 連分数解 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非平衡状態にある散逸結合系の理論的研究を通して、凝縮系における動的過程を明らかにすることである。特に、量子開放系に焦点を絞って定式化を行い、厳密解を得た。具体的には、光と物質が相互作用し、かつエネルギーの流れを内包する系を取り扱った。従来、この系に対する定式化を行う際には、かなりの近似的な扱いを余儀なくされていた。本研究は、これまで厳密解を得ることは不可能であると思われていた系に対して、初めて解析解を得たものである。この解は、ミクロなレーザー模型をも特殊例として含んでおり、非平衡量子開放系の原型を解いたと言ってよかろう。 さらに、我々の方法論を量子多体系へ拡張し、厳密な定式化を行った。その結果、レーザー作用の本質的現象(光子を媒介とした活性原子間の協同現象)を、初めて理論的に明らかにした。従来、レーザー光が放出される過程に対しては、次のような直観的描像が広く受け入れられてきた。すなわち、ある原子から放出された光が別の原子に吸収されることにより、原子間に光子を媒介とした結合が生ずる。これと共に原子系全体の位相が揃い、放出される光も位相の安定した、コヒーレントなものとなる、というものである。しかし、これまで量子多体系に起因する困難から、このシナリオを遂行した仕事は存在しなかった。本研究により初めて、レーザー系における位相の自己組織化過程を詳細に論ずることが可能となった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)