Project/Area Number |
05854043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地球化学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 新 大阪大学, 理学部, 助手 (40207650)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ESR / 電子スピン共鳴 / 年代測定 / ESR年代測定 / 石英 / 酸素空格子 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
ESR年代測定は、鉱物中に自然放射線によって生成、蓄積する格子欠陥の量を、ESR(電子スピン共鳴)測定で定量することによって行われる。石英中の酸素空格子はこれまで用いられてきた欠陥に比べて熱的に安定である。このため、これを年代測定に用いることができれば、これまで行われてきたESR年代測定の年代の限界(約2Ma)を越えた年代範囲への応用が広がる可能性がある。 これまで、酸素空格子量と火成岩試料の放射年代の間には相関が観測されていたが、今回の研究で測定試料数を増やしたところ、10-100Maの年代範囲、gamma線によって酸素空格子が生成したと仮定した場合の被曝線量にして10-100KGy付近で最大で3倍ほどの酸素空格子量のばらつきが見られた。 詳細な人為gamma線照射の実験を行ったところ、酸素空格子には、生成効率は高いが比較的低線量で飽和する成分Aと、生成効率は低いが高線量まで線形に増大する成分Bの2種類があることがわかった。さらに、照射時の温度による生成功率の違いを調べた結果、250℃までの範囲で温度が高いほど生成効率が高く、最大で3倍程度になること、また、成分Aは室温での照射でのみ生成することがわかった。gamma線によって生成する酸素空格子量は、火成岩試料の予想される被曝線量に対してかなり多くなっているが、この主な原因は成分Aのためである。 成分A,Bのサイトの解明、熱安定性の詳細な研究が今後の重要な課題となる。また、自然の石英中にはどちらの成分が蓄積されているかも調べる必要がある。これらの基礎実験の結果の上に岩体の冷却過程を考慮すれば、石英中の酸素空格子を用いたESR年代測定を実用化できることが期待される。
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