立体構造解析を基礎とする新奇な有機配位子の創製とその分離機能
Project/Area Number |
05854071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
分離・精製・検出法
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宗林 由樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (50197000)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ポリピラゾリルボレイト / 2族金属イオン / 溶媒抽出 / 選択性 / X線構造解析 |
Research Abstract |
本年度はポリピラゾリルボレイト(L=H_nB(pz)_<4-n>^-;n=0,1,2)が、従来の有機配位子とは異なる方法で2族金属イオンサイズを識別し、新奇な選択性を示すこと、さらに置換基によってその選択性が著しく変化することを見い出した。 ポリピラゾリルボレイトは負1価のN配位子であり、ボ-ト型の6員キレート環を生成する。H_2B(P2)_2^-は2座配位子、HB(PZ)_3^-およびB(PZ)_4^-は三方の3座または2座配位子として働く。酸解離定数はH_2B(PZ)_2^-でpk_<a1>=8.72,pk_<a2>=4.96,HB(pz)HB(PZ)_3^-ではpk_<a1>=6.06,pk_<a2>=3.04である。これらの値は^1H_-ピラゾールのpk_a=2.60と比べて著しく大きい。 2族金属との錯生成反応は液々分配法により検討した。抽出種はすべてL_2M型であるが、2族金属に対する選択性は、ピラゾール基の数によって全く異なる。この差は、配位原子の塩基性度の差によっては説明できない。とくに、B(pz)_4^-は中性pH領域でMg^<2+>を定量的に抽出するが、Ca^<2+>はほとんど抽出しない。このような高選択性は、従来の有機配位子では実現できなかったものである。 H_nB(pz)_<-n>^-の特異な選択性の原因を明らかにするためために、錯体のX-線構造解析を行った。その結果、H_nB(pz)_<-n>^-錯体の安定度と構造は、中心ホウ素原子に結合しているピラゾール基間の配位子内立体反発に強く依存することが分かった。例えば、B(pz)_4^-が Ca^<2+>を抽出しない理由は、Ca^<2+>に3座配位するように配位ピラゾール基間の距離を広げると、非配位ピラゾール基との立体反発が避けられないからである。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)