Research Abstract |
土壌中に大量に存在するAlは酸性土壌ではAl^<3+>イオンとなり、植物に対して生育阻害をもたらすことが知られている。これまで、Al障害については植物生理学的面からの解析はさかんに進められてきたが、分子遺伝学的面からの解析は、ほとんどなされていない。Al^<3+>イオンの添加によってその発現量が増加するような遺伝子産物は、Al耐性機構に関与している可能性があり、機構の解明につながると思われる。 本研究ではまず、Al処理を行なったタバコ培養細胞よりmRNA を抽出精製し、これを用いてcDNA ライブラリーを構築した。次に、この中より differential screeningでAl処理で発現誘導がかかるcDNA クローン群の単離を試みた。その結果、5つの誘導型クローンを単離した。これらのクローンについてはノーザンハイブリダイゼーション法を用いて、Al処理によりmRNA レベルで誘導が確かに起こっていることを確認した。また、これらのクローンはリン酸欠乏処理によっても誘導されることも明らかになったので、api遺伝子群(aluminium and Pistrvation inducible genes)と命名することにした(apiA,apiB,apiC,apiD,apiE)。 その中の1つ、apiAについては塩基配列を決定し、少なくとも塩基配列において相同性の非常に高い2つのサブクローン(apiA-1,apiA-2)が存在することを示した。なお推定される分子量は9.7Kdであった。現在、ほかの4クローンについても塩基配列を決定中である。
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