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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究はメディエーター(Med)修飾電極を用いた不斉合成反応を目的とし、基板電極として安定かつ表面積の大きいグラファイトフェルト(GF、表面積0.7m^2/g)を用い、それにポリアクリル酸(PAA)膜を被覆し、その層中にMedを化学的に固定することとした。 まずMedとして高い反応選択性のあることが知られているTEMPO(2,2,6,6-teramethyl-piperidinyl-N-oxy)に光学活性基を導入したTEMPO誘導体(キラルTEMPO)4種を合成し、修飾条件、すなわち電極表面の環境の異なるキラルTEMPO修飾GF電極を作製した。得られた電極は、電気化学的手法によりその選択性の評価を行った。アルコールとして1-phenylethanolを用いたそのR体およびS体と作製した修飾電極との反応性に差異をサイクリックボルタントメリ-(CV)により比較した。その結果、全ての電極がR体またはS体に対して選択的反応性を有していたが、これらのうち特にR体およびS体に対し高い選択性をもつ電極において回収アルコールのeeが99%、S体に対し選択性を示した2種の電極を用いての1-phenylethanolの立体選択的酸化反応を行ったところ、R体に対し選択性をもつ電極において84%と極めて高い選択性を示した。一方、1級ラセミアルコールである2-phenyl-1-propanolに対しては立体選択性を示さないことが明かとなった。 次にMedとしてフェロセン(Fc)誘導体を用い、電子移動反応が進む酵素としてジアフォラーゼ(Dp、E.C.1.8.1.4)、およびアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH、E.C.1.1.1.1)を修飾した三元系電極を作製し、これをNADH存在下アルコール類のマクロ電解酸化に応用した。3-methyl-1,5-propan.-diol、cis-1,2-cyclohexanedimethanol、1,2-cyclohexanediolのいずれかの基質からも立体選択的にそれぞれの生成物を高収率、高電流効率、高選択率で得た。また基質は存在しなかったので、 反応液からの生成物の回収、精製は容易であり、クリーンな生物電気化学反応器を与えた。
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