Research Abstract |
モノマーとして芳香環中に電子吸引性ピリジン型窒素原子を有するいくつかのジハロゲン化芳香族化合物を別途合成した。そして、各モノマーにニッケルゼロ価錯体を各々当量加えて脱ハロゲン化重縮合反応を進行させることにより、単位構造にピリジン型窒素原子を有する新規のpi共役ポリマーであるポリ(キノキサリン-5,8-ジイル)及びその誘導体、ポリ(キノキサリン-2,6-ジイル)、ポリ(ベンゾイミダゾール-4,7-ジイル)、ポリ(2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル)を合成した。 得られた各ポリマーについて、化学的・電気化学的酸化還元特性を検討した。その結果、ポリ(ベンゾイミダゾール-4,7-ジイル)、ポリ(ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル)は、pi電子過剰系複素5員環骨格と電子吸引性ピリジン型窒素原子の両方を有するため、酸化(p-ド-ピング)及び還元(n-ド-ピング)両反応において導電体へと変換された。一方、電子吸引性ピリジン型窒素原子を2つ有する複素6員環構造からなるポリ(キノキサリン-5,8-ジイル)及びその誘導体は酸化反応での導電性の向上は見られず、還元反応によってのみn型導電体へと変換された。そして、類似の結合様式を持つポリナフタレン、ポリキノリンのn型ド-ピング電位との比較から、芳香環へのピリジン型窒素原子の導入によりn型ド-ピング電位が正側にシフトすることが明かとなった。また、ポリ(キノキサリン-5,8-ジイル)の異性体ポリマーであるポリ(キノキサリン-2,6-ジイル)は主鎖骨格中にピリジン型窒素原子を有するため、電子吸引性が更に向上することがわかった。
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