Research Abstract |
1.シイタケの交配における細胞質遺伝子の伝達様式 ミトコンドリアDNA(mtDNA)の制限酵素切断型が異なる3系統を交配親として,総当たりの組み合わせで交配試験を行い,得られた交配株のmtDNA切断型を分析した。その結果,正逆交配株のmtDNA切断型は核受容側の一核菌糸体のものと一致した。一方,一核菌糸体の接触部から分離した交配株のmtDNA切断型は両親一核菌糸体由来の断片を合わせ持つ混合型として検出された。接触部から分離した交配株をプロトプラスト化して単細胞由来の二核菌糸体を分離し,それらのmtDNA切断型を分析したところ,両親一核菌糸体の接触部から分離した交配株のコロニー内には,核構成が同じでmtDNAが異なる2書類の二核菌糸体が存在していることが判明した。また,それら2種類の二核菌糸体は一核菌糸体の接触部を境に別個に存在しており,シテタケのミトコンドリアは核とともに移動しないことが示された。以上の研究結果から,シイタケの細胞質遺伝子は交配親一核菌糸体の接触部を境界に核受容側の一核菌糸体のものを受け継ぐ典型的な片親遺伝をすることが明らかになった。 シイタケのプロトプラスト融合における細胞質遺伝子の伝達 交配試験に供試した一核菌糸体間でプロトプラスト融合を行ったところ,3組み合せとも融合二核菌糸体が得られた。1組み合せで得られた融合二核菌糸体のmtDNAを分析した結果,片親系統のmtDNA断片を1本欠損しもう一方の親系統の断片と同じ移動度のものが1本加わったもの,また両親系統の断片を数本ずつ合わせ持ち両親系統にはない新たな断片を有するものなど様々な切断型が認められた。この結果は,プロトプラスト融合によってmtDNAの組換えが起こったことを示唆しており,mtDNAの伝達は交配時とは異なることが示された。
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