Project/Area Number |
05856039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 繁 北里大学, 水産学部, 講師 (20170748)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | テトロドトキシン / 麻ひ性貝毒 / 普遍的分布 / サケ |
Research Abstract |
テトロドトキシン(TTX)と麻ひ性貝毒(PSP)は従来、フグやある種の渦鞭毛藻等のような特殊な生物にのみ認められていた。筆者らはこれらの毒に特有のsodium channnelをblockする活性が、これまで全く無毒であると考えられてきたサンマ、カツオ、イソガニ等の通常の水生生物の抽出液にも認められること、抽出液を部分精製後にHPLCで分析したところこれらの毒と同一のretention timeを与えるpeakが認められることを報告している。この結果は従来特殊な生物にのみ存在するとされていたTTXやPSPが極めて低い濃度では水生生物に広く、普遍的に分布することを示唆する。そこで本年度は、内蔵試料の大量入手が容易であり無毒と考えられているサケを用いて毒を精製・単離し、その存在の確認を行った。すなわち、サケの肝臓・消化管それぞれ100Kgを集めこれを熱水抽出し、Amberlite XAD-2、 活性炭、Amberlite CG-50、Bio-Gel P-2およびBio-Rex 70にて順次毒を精製したところ、消化管より麻ひ性貝毒成分であるサキシトキシン(STX)およびネオサキシトキシン(NSTX)とHPLC上同一の挙動を示す毒を単離した。肝臓からは毒は単離されなかった。消化管より単離した毒のFABMSならびに^1H-NMRを測定したところ、いずれも同時に測定したSTXならびにNSTX標品の値と一致し、文献値とも合致した。本年度はTTXの存在を確認することはできなかったが、少なくともPSPはサケのような無毒魚種にも存在することを確認した。筆者らはPSPを生産する細菌の存在を認めており、サケ消化管から低い濃度とはいえ単離された毒は環境水あるいは消化管中に分布する細菌に直接由来すると考えている。一方、肝臓からは毒が単離されなかったことから、細菌によって生産された微量の毒を長期に渡り取り込んでも、サケ等通常の生物は高度には毒化し得ないと思われる。これに対し、フグ等の有毒生物には細菌の毒生産を助長するような機構が存在するものと考えられる。
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