Research Abstract |
抗Hu抗体を認識する神経細胞の核内抗原について蛋白化学とcDNAlibraryのクローニングの両面からアプローチを試みた.ラットの脳組織のホモジネートから得られた分画を各種カラムにかけ,分離精製し,抽出した蛋白を酵素消化し,アミノ酸配列のシークエンシングを行っている.一方,rat brain cDNAlibrary(lambdaファージ)から,発現した蛋白を患者抗体を用いてscreeningしたところ,700bpと900bpのinsertをもつ2個のクローンを拾うことができ,再度M13系vectorにligationした後,host大腸菌を増殖させ,ssDNA産生させてのシークエンシングを行っている. また,乳癌の患者で経過中に亜急性に進行する小脳失調の患者を経験した.この患者の血清を免疫組織染色で検討したところ,大脳皮質のニューロンや小脳プルキンエ細胞の細胞質,小脳の顆粒細胞,脊髄前角細胞,後根神経節細胞の細胞質が染色された.ウエスタンブロットでは40KDに単一のバンドが検出され,従来の報告にはない蛋白である可能性が考えられた(発表済み).この患者血清を用いて新たにcDNAlibraryからscreeningし,cloningを行なうことで抗原蛋白について解析中である.
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