生体肺微小循環観察法によるラット肺移植後急性血管障害の研究
Project/Area Number |
05857136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Thoracic surgery
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 助手 (10245037)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 移植後肺水腫 / 生体肺微小循環 / 末梢肺灌流不全 |
Research Abstract |
体重400gのウィスターラットを用い、同種同系左片肺移植を行った。左前胸壁を切除した後、蛍光標識物質として分子量67000のFITC-Albuminを静注し、移植肺の微小循環を蛍光顕微鏡を通して観察した。肺動脈遮断解除直後からの再灌流像や再灌流後数時間経過しての微小循環形態の変化を観察することができた。再灌流直後では灌流良好域と不良域が斑状に出現し、良好域でも血流速度は低下していた。時間経過に従い、灌流良好域は拡大し、その部位の全微小血管領域では標識Albuminの血管外への浸出を認めた。一方、灌流不良域では標識物質の浸出は認めなかった。観察系の肺循環への影響を除去するため、左肺移植後、左右前胸壁を切除し、移植していない右肺の微小循環も同時に観察した。右肺では、灌流領域の不均等はなく正常の微小循環像が観察された。血流速度は右側の細動脈では約1000-1500um/secであったのに対し、左側ではその約30-50%に低下していた。肺動脈の鋳型モデルを作成したところ、肺動脈の吻合部狭窄はなかった。血流速度については、より正確に測定できる装置を現在考案中である。観察数時間経過した右肺では、標識物質の血管外への浸出は全体的に軽度であった。観察実験終了後、両肺の湿乾重量比を測定すると移植した左側が軽度高かったが、有意の差はなかった。 以上の結果から片肺移植後急性期では、対側が正常肺の場合では血流がシフトして移植肺血流が低下していることが判った。肺動脈鋳型モデルの結果からこの現象は末梢灌流不全に起因していた。このため、湿乾重量比による肺損傷の評価では過小評価していることが示唆された。今後は、血流速度測定法の確立するとともに、移植肺機能を正当に評価するため、対側肺動脈遮断による移植肺微小循環を研究すること、さらに白血球や血小板の動態観察法を確立し、移植肺末梢灌流不全の原因を追求することを予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)