Project/Area Number |
05857163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Urology
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島居 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80235613)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 泌尿器癌 / 腎細胞癌 / 細胞外マトリックス分解酵素 / カテプシンB / カテプシンL |
Research Abstract |
1.目的:癌の浸潤、転移においてコラーゲン、ラミニン、エラスチン等の細胞外マトリックスの分解は不可欠である。カテプシンL、Bはペプチド結合の加水分解を触媒するシステインプロテアーゼで、それぞれコラーゲン、エラスチンを分解し、高転移浸潤性癌では多く発現されると報告されている。またカテプシンHも乳ガン細胞ではB、Lよりも高い値を示すとの報告もある。そこでの腎の正常および癌組織を対象にカテプシンB、H、Lの組織内局在について検討した。 2.方法:腎癌22例を対象にその正常腎組織、癌組織を中性緩衝ホルマリンに固定し型どおり包埋。坑カテプシン(B、H、L)ポリクローナル抗体(Kominamiら(1982)が抽出)を用い免疫組織化学的手法により染色し、その局在を検討した。 3.結果:カテプシンB、Lは腎癌組織にのみ発現し、正常腎組織には認められなかった。癌組織中の局在は癌細胞の細胞質および細胞膜にのみ発現し、癌間質や壊死組織には見られなかった。発現の程度は腫瘍中心部よりも周辺部でやや高い傾向がみられ、カテプシンBの方がLよりも高い傾向が見られた。組織型では明細胞型は高い発現がみられたが、異型度とのあきらかな相関は見られなかった。一方、カテプシンHは腎癌、正常腎組織ともに発現は見られなかった。 4.考察:Chauhanら(1991)はカテプシンL含量を種々の腫瘍で測定し、腎腫瘍は最も高い値を示したと報告しているが、本研究により組織学的にB、Lが癌細胞内に強く発現しており、組織学的マーカーになりうると考えられた。正常腎尿細管にもカテプシンは存在するとされるが癌細胞に比して検出限界以下であり、尿細管が発性母地とされる腎癌における脱分化のひとつと考えられ、癌進展との関わりが興味深い。さらに腎癌細胞の培養における細胞内局在、培養液中への放出の検出を検討する予定である。
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