Project/Area Number |
05857268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Medical sociology
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
森岡 正博 国際日本文化研究センター, 研究部, 助手 (80192780)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ささえあい / 高齢化社会 / 生命倫理 |
Research Abstract |
本研究では、まず「インフォームド・コンセント」の思想を検討した。インフォームド・コンセントの思想の背景には「自律した個人の自己決定にもとづく相互契約」という、近代市民社会の思想があることが明確になった。現代の日本の医療現場での聞き取り調査によって、医師による患者への説明が、以前よりは時間をかけたものになっていることが分かった。患者の権利団体への調査によって、インフォームド・コンセントに対する市民の関心がきわめて高いことも判明した。その背景には、日本社会それ自体が、急速に「近代化」しつつある事実がある。ところで、今後の日本社会は、超高齢化社会に突入してゆく。その際には、高齢障害者や寝たきり老人、末期患者などが増大し、近代市民社会が前提としたような「自律した個人」の割合が減ってゆくと予想される。そこで私は、「ささえあい」モデルという「相互扶助」型モデルを理論化し、「自律した個人」モデルを克服しようとした。「ささえあい」モデルとは、人間は他の人間によってささえられることによってはじめて、「自己」として確立するというモデルである。ここでは、「自己」が最初から確立していると考える個人主義も、「自己」は人間関係の網の目の中の結接点にすぎないと考える関係主義も、ともに克服されている。他からささえられて、自己決定できるような人間が、ささえあいのネットワークを連結してゆくことで、はじめて高齢福祉社会の援助モデルに、哲学的裏付けが与えられるのである。これが、本研究の現時点での成果である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)