Research Abstract |
省資源,省エネルギーは地上における環境問題,また近未来に予想される宇宙生活に関連して最重視される要件である.その中で水系の各種処理における泡沫の応用は省エネルギー,節水に直接的に効果があるとして注目されている.報告者は泡沫染色に関する研究の中で,とくに基質周辺部における液流についての検討から,泡沫染色においては泡沫の移動にともなって染色基質表面をPlateau境界が連続的に移動するため,浸染におけるかくはんと同様の効果が発生すると予想している. 本年度の研究では,昨年に引き続き,光学セルの内表面に形成される泡膜のPlateau境界を送気法により連続的に移動させながら,その内部および周辺の液流をコンピュータに接続した顕微鏡ビデオ装置を使用して観察することを目的とした.ただし,界面活性剤溶液は無色透明であり単独での観察は不可能に近いため,昨年度と同様,酸性染料ならびに分散染料の結晶をdetectorとして用いるとともに,新たに微小latex粒子のdetectorとしての応用についても検討した.また,観察にあたりビデオデジタイザを使用してコンピュータに顕微鏡ビデオ画像を連続的に取り込み画像処理ソフトによりPlateau境界と各種detectorのアウトライン化を試み,観察される液流の速度論的な検討のための手掛かりを得た. 観察の結果,従来より予想していたPlateau境界の移動に起因する液流は,Plateau境界内の乱流,Plateau境界周辺のlamellar層における液流,Plateau境界への吸引作用,重力による排液作用などが相互に関連し,かなり複雑な液流となっており,これが染色処理時の基質周囲に存在が仮定される拡散の境界層の厚さを効果的に減少させていると考えられる.なお,この作用は一般の浸せき処理におけるかくはんと比較してかなり大きいことも期待できるため,今後はこれら液流の速度等についての検討を継続する.
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