Research Abstract |
1.一つのブール変数Xを含み,正しい回路ではこの変数Xが単一または複数の出力まで伝搬する,誤り追跡入力を生成するソフトウェアを開発した。二分決定グラフによる論理関数の操作によって,多出力回路に対応する誤り追跡入力を短時間で生成することが可能となった。 2.生成された誤り追跡入力をもとに,ブール変数Xを出力に伝搬させるように修正可能な箇所の組合せを,可制御性の評価と,誤りの種類を特定しないシミュレーションにより,「誤り候補箇所」として特定するソフトウェアを開発した。多出力回路を一括して扱うことで,異なる出力端子を頂点とする部分回路間にまたがる設計誤りをも追跡可能とした。 3.特定された誤り候補箇所のそれぞれについて誤りの種類を対応させ,ブール変数Xが出力まで伝搬するか否かの判定を行い,すべての誤り追跡入力についてXが出力まで伝搬する誤りの組合せを,設計誤りの候補として出力するソフトウェアを開発した。 4.二分決定グラフを用いた論理関数操作によって,自動的に論理検証を行うソフトウェアを開発した。また,3.の結果得られた候補をもとに自動的にもとの回路を修正し,再度論理検証を行うことによって,最終的な設計誤りと,修正された回路を設計者に提示する機能を付加した。 5.提案した手法を計算機上に実現し,最大2,300ゲートの9種の多出力回路に含まれる203種の誤りに対して,その追跡・修正能力を評価した。その結果,すべての回路例において誤りの指摘が可能であると同時に,可能性のあるすべての3重誤りを25分以内に求めることが可能となった。
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