Research Abstract |
機械設計図面,地図,回路図などを対象とした画像認識を目的として,局所的特徴抽出をおこなうモジュール(下位モジュール)と大局的理解を担うモジュール(上位モジュール)の相互作用に基づく線図形認識機構を考案し,試作システムを用いた実験を行った。 下位モジュールは,認識対象の比較的小さな領域に注目して局所的な特徴の抽出をボトムアップ的に行う。これを,線分の傾きと太さを認識するニューラルムッネワーク(NN)によって実現した。これは,標準的なNNと比べて,教師事例の補間が滑らかであり,認識精度が10倍程度高い。また,全画素を走査する前処理が不要である,矢印や文字などの特徴も同じ機構で認識可能である,などの特徴を持つ。 上位モジュールは,下位モジュールによる断片的な認識結果を統合して,幾何学的なデータを得る(図形認識)とともに,そのデータの意味解釈(図形認識)を行う。本研究では,上位モジュールをプロダクションシステムで構成することによって,モジュール性の高い知識表現を可能にし,認識対象の変更や新たな知識の追加を容易にしている。 以上のモジュールの相互作用に基づいて,イメージスキャナから入力した設計図面を理解するシステムをワークステーション上に試作し,実現可能性と有効性を検討した結果を計測自動制御学会全国大会等で口頭発表した。 局所的な認識結果に対して意味解釈を行った結果は,認識が進み関連する情報が増えるにつれて更新されるべきである。この考えに基づいて,認識の進行にともなう断片的解釈の整合化を自動化する方向で研究を発展させている。成果が得られ次第,論文にまとめる予定である。
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