タンパク質膜透過装置を構成するSecYタンパク質の進化と分化
Project/Area Number |
05858081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Structural biochemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中井 正人 名古屋大学, 理学部, 助手 (90222158)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | タンパク質膜透過 / タンパク質輸送 / ラン藻 / チラコイド膜 / SecY |
Research Abstract |
ラン藻は原核生物であるが、細胞内にチラコイド膜と呼ばれる独立した内膜系を持っている。したがって、細胞質膜に移行するタンパク質とチラコイド膜に移行するタンパク質は、厳密に仕分けられねばならないが、仕分けに関与する膜透過装置等については、全く分かっていない。本研究では、大腸菌等の細胞質膜でタンパク質の膜透過装置を構成しているSecタンパク質が、ラン藻の二つの膜系にも存在しているのかどうか、まず、遺伝子レベルで検索した。 SecYタンパク質は、大腸菌等でタンパク質の細胞質膜透過の中心的役割を担っている内在性の膜タンパク質である。最初に、タバコ葉緑体DNAのspcオペロン領域をプローブとして、ラン藻Synechococcus PCC7942のゲノムDNAからspcオペロンを含むDNA断片を単離した。塩基配列の解析の結果、このDNA断片中に、secY遺伝子を同定した。サザン解析の結果、secY遺伝子ラン藻はゲノム中に1コピー存在することが示唆された。 次に、ラン藻細胞内に一種類しか存在しないように見えるこのsecY遺伝子産物が、細胞質膜、チラコイド膜のいずれの膜系に存在しているのか明らかにする目的で、以下の実験を行った。(1)ラン藻SecYタンパク質の一部を大腸菌内で大量に発現させ、これを抗原として得られた抗血清を用いて、ラン藻の各膜画分に対して抗体染色を行った。(2)ヒトc-Mycタンパク質の部分配列がC末端に付加されるように改変したラン藻secY遺伝子をラン藻に形質転換し、形質転換株の各膜画分に対して、付加したc-Myc部分を認識する抗体を用いた抗体染色を行った。(1)(2)いずれの解析結果も、ラン藻細胞内でSecYタンパク質は、細胞質膜とチラコイド膜の両方に存在していることを示した。このことは、SecYタンパク質が、両膜系でタンパク質の膜透過に関与している可能性を強く示唆するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
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