Project/Area Number |
05858102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 (1994) 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (20171720)
辰己 仁史 (1993) 東京医科歯科大学, 難疾患研, 助手
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 光ピンセット / 海馬神経細胞 / 神経成長円錐 / 膜蛋白分子 / レーザー光線 |
Research Abstract |
光ピンセットとは光の放射圧を用いて1mumあるいはそれ以下の微粒子を捕まえ操作する新しい光学技術である。光を用いるため非接触であること、またレーザー光を用いるため微小領域に集光することによって、目的の粒子にのみ力を作用されることができる。本研究ではラット海馬培養神経細胞の神経成長円錐の膜蛋白分子に、直系15〜40nm(ナノメートル、10億分の1メートル)の金粒子を付着させ、その相対的位置変化をビデオ強化型高倍率微分干渉顕微鏡により約10nmの位置精度で計測した。本研究はこのナノメートル測定技術の土台の上で、光ピンセットを用いて金粒子を捕捉し、金粒子の付着した単一蛋白分子を細胞膜上で操作を試みた。また膜蛋白分子の運動を制限している分子メカニズムについても検討を加えた。 中枢神経海馬は、学習や記憶に関わるとされ脳の中の重要な部位である。生後1〜3日の動物の脳切片から微小ナイフにより切り出された海馬を酵素処理し神経細胞を単離し培養した。現有の7000倍の高倍率微分干渉顕微鏡で観察すると、3時間から24時間培養された神経細胞の神経突起には成長円錐が形成されることが確認できた。 神経成長円錐に金コロイド粒子(直系40nm)を灌流投与し、高倍率微分干渉顕微鏡による神経成長円錐の映像をビデオ画像強調すると金コロイド粒子が膜表面に付着している様子が観察され、膜蛋白分子が金コロイド粒子で標識された事を確認できる。標識用金コロイド粒子が膜表面にコンカナバリンAを結合し、膜蛋白分子を特定することができた。高倍率微分干渉顕微鏡の細胞照明用の光路(落射光路)にレーザー光を導入し金粒子に集光すると、光ピンセットとして作用し金粒子を捕捉できることを確認できた。捕捉状態では、粒子は約直径100nmの円周内にとどまりレーザー光照射を止めると、ランダムな自由運動(ブラウン運動)を開始した。しかし全く自由なブラウン運動ではなく差し渡し数百ナノメータの微小な束縛域の存在を示唆するような運動であった。光ピンセットの捕捉点を細胞膜上で移動させると、金粒子も膜上を移動し、人為的に膜蛋白分子の移動が可能であることが判明した。この研究は生体機能高分子の1分子レベルでの操作技術および膜分子間に働く力の直接的測定法の開発と発展に寄与するものと考える。
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