神経細胞・シュワン細胞分化におけるカルパイン-カルパスタチンの役割
Project/Area Number |
05858116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
斎藤 祐見子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (00215568)
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 神経突起 / シュワン細胞 / 分化 / カルパイン / カルパスタチン / プロテアーゼ |
Research Abstract |
神経突起伸長に数種の細胞外プロテアーゼが関与することが知られている。細胞内に存在するカルパインはCa^<2+>で活性化されるという興味深い性質を有し、ラットPC12細胞の神経細胞分化に伴いその活性が低下することが報告されている。しかし、他の神経系細胞や、シュワン細胞へと分化する際の動態やその役割については報告がみられない。ヒト由来神経芽細胞腫GOTO細胞はブロモデオキシウリジン(BrDU)によりシュワン細胞へ分化する。また、無血清化学合成培地(N2)にジブチルサイクリックAMP(dbcAMP)を加えることによりGOTO細胞は細胞凝集し、その後神経突起伸長を開始する。そこでGOTO細胞のシュワン/神経という2方向性分化に伴うカルパインとその内在性インヒビターであるカルパスタチンの動態を、抗体と合成カルパインインヒビターを用いることにより検討した。シュワン分化ではカルパインの量的変動はみられないが、カルパスタチンに変動がみられた。すなわち、分化前には110Kのカルパスタチンが存在するが、BrDU添加後2日目には110Kの他に新たに110Kとほぼ同僚の120Kが出現する。細胞を免疫染色したところ、シュワン分化によるカルパスタチンの局在の変化はなく、ともに細胞質がdiffuseに染色された。一方、神経分化ではカルパスタチン量、mu-カルパイン量の変動はみられないが、神経突起伸長時に一致してm-カルパイン量の低下がみられた。さらに、合成カルパインインヒビターやカルパスタチンの阻害部分ぺプチド(27mer)はシュワン分化には顕著な影響を及ぼさなかったが、dbcAMPによる神経突起伸長の程度を増強した。以上の実験結果は、カルパインそれ自体の活性低下が神経の突起伸長に重要な働きをすることを示す。また、シュワン分化において新たなカルパスタチン分子が出現することは初めて発見されたことであり、今後のカルパスタチンの生理的役割を解明する契機となることと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
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