Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
蛍光プローブとは,標的分子との反応により蛍光強度等の蛍光特性が変化する機能化された蛍光色素である.これを用いたバイオイメージング法は,細胞内に存在する生理活性物質の動的挙動とその生理的な役割の理解のために,極めて有川な手段である.本研究の目的は,実用的な蛍光プローブを合理的な手法で開発することにある.私はこれまでの研究で,フルオレセインが蛍光団に対する光誘起電子移動のみならず,蛍光団からの光誘起電子移動によっても精密に制御可能であることを実験的に照明した.さらに私は,新規プローブを開発することで,確立した蛍光制御原理の有川性をした. 本年度はこれらの知見を応用し,ニトロ化ストレス特異的蛍光プローブを開発することを計画した.ニトロ化ストレスは,パーオキシナイトライト等に代表される活性窒素種によって引き起こされることが知られており,近年,神経細胞死等の種々の病態との関連から注目を集めている.しかしながら,これを選択的に可視化可能なプローブはなく,新たなプローブの開発が望まれていた.本研究では,光誘起電子移動に基づき,蛍光色素BODIPYの分子構造を最適化することで,他の活性酸素種では蛍光が増大せず,ニトロ化能を有するパーオキシナイトライトとの反応でのみ,蛍光性が増大するプローブを開発することに成功した,このプローブは,中性リン酸緩衝液中においても十分機能を発揮し,ニトロ化ストレスを発生する酵素系のモニタリングや生細胞に適用したバイオイメージング法にも耐えうる機能を有していることが明らかとなっている.ニトロ化により蛍光性が増大する分子の例はこれまでになく,これは化学的にも非常に興味深い知見であると同時に,ニトロ化ストレスを惹起する活性種のみを高選択的に検出できるプローブの登場により,今後,生体内におけるニトロ化ストレスの発生・消失や細胞障害への寄与を詳細に検討するための強力なツールとなることが期待される.
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