両岸経済圏の展開を踏まえた長崎・福建間経済交流の新たな可能性
Project/Area Number |
06045048
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | University-to-University Cooperative Research |
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
川原 紀美雄 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (40201446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 峰 華僑大学, 工商管理学部, 副教授
陳 俊明 華僑大学, 社会科学学部, 助教授
張 煥堂 華僑大学, 社会科学学部, 副教授
呉 承業 華僑大学, 工商管理学部, 教授
米谷 泰輔 長崎県立大学, 経済学部, 講師 (90238840)
村上 則夫 長崎県立大学, 経済学部, 助教授 (10190886)
稲永 明久 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (40099718)
河野 善隆 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (80192053)
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Project Period (FY) |
1994 – 1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | ポストン冷戦期 / 中小企業 / 技術 / 国際連携 / 情報教育 / 海洋開発 / 新たな産学協力 / 両岸経済圏 / 泉州市 / 郷鎮企業 / 華僑大学 / 廈門市高進技術開発区 / 新竹工業園区 / テクノポリス財団 |
Research Abstract |
本概要は長崎県立大学と華僑大学との友好交流協定に基づく三年計画の共同研究「両岸経済圏の展開を踏まえた長崎・福建間経済交流の新たな可能性」に対して平成6年度、7年度の二年間にわたって交付された「大学間協力研究」の最終年度の報告である。本年度の調査研究は、これまでの台湾・福建間の両岸経済圏、香港・深〓などの華南経済圏など中国南部の三資企業の動向調査を踏まえて、福建省と長崎県との間の経済交流の特徴づけをより明確にするため、(1)大連、長春など北部の経済特区、三資企業の動向調査、(2)中国における海洋開発の現況を知るため上海交通大学との意見交換を行い、11月に「変革期における地域間技術交流の意義と展望」というテーマで両大学間の研究会を華僑大学において開催した。 研究会は四つの柱を立てて行われた。一つは現況についてであり、それはさらに二つのことを解明している。一つはポスト冷戦期の台湾・福建間の両岸政治・経済の動向把握、特に台湾の南進政策の持つ意味を中心にした両岸関係の見通しであり、いま一つは、そのなかにおいて経済の担い手として中小企業が重要な役割を果たすことの歴史的意味と現況である。第二の柱は、担い手としての中心企業の技術交流の現況と展望であり、ここでは日本側から中小企業における異業種交流の国際連携の現状と意義について、中国側からは泉州市民間経済の技術発展の現況と課題について報告がなされ、報告を通じて経済発展段階の違いによる技術への対応の違い、“創出と導入"が浮き彫りになると同時に、三年間の共同研究を通じて中国側が中小企業においても技術創出を行う必要性と可能性に注目しはじめた点は本研究の具体的成果の一つであるといえよう。第三の柱は、中小企業の異業種交流、国際連携を促進するうえで、情報の果たす役割が決定的に重要であり、そのような情報化の担い手育成としての経済系学部の情報教育について、その基礎データとして学生の意識調査を実施した。これは台湾の中原大学の協力も得て、文字通り両岸経済と長崎における情報教育の現状を比較するユニークなデータであり、我が国の情報教育の国際比較に応分の寄与をするものと自負すると同時に、長崎からの情報発信として活用してもらえればと考える次第である。特に我が国においては情報化社会の到来が喧伝されているが、中国・台湾と比較して我が国の情報教育には二つの顕著な特徴、弱点があるといえる。一つは高校までの情報教育が極端に劣っていること(台湾8割、中国6割、日本2割?!)、とても情報の基礎教育においては先進国と言える状況にはない。さらに大学においても専門分野への活用や授業内容への希望などにおいて社会性を欠落し、とても情報化社会の担い手育成になっていないことが国際比較の中で判明している。もちろん、対応策については今後の課題として残されている。第四の柱としての地域間経済交流の具体化については、地域間の歴史的、地理的共通性をベースに考える必要性のあることを確認している。長崎県、特にその北部地域は‘まつらのくに'を共通基盤に海を与件として、海洋産業の先端化が策定され、次期全総のイメージ像として注目を集めつつあり、折しも福建省においても今後の重要な産業の柱の一つとして海洋開発が提起され、華僑大学側から当該共同研究の続行、継続が提起されている。これは今回の共同研究の最大の成果であり、文部省当局におかれても「大学間協力研究」の課題の一つとして続行、継続を検討して頂ければと願う次第である。 さらに本共同研究の成果の一つとして情報教育、技術創出システムの研究のため、本学へ華僑大学から平成8年度一名の研究員派遣が決定した。これは今後共同研究を進め、継続し、成果をあげていくうえでも重要な決定である。尚、今回の両大学の研究会には県北地域の若手財界人二名も参加、泉州・石獅市の民間財界人と交流、両地域の産学協力が行政抜きで実現した。これは従来の姉妹都市提携が行政主導で行われていたのとは大きく異なる方式であり、新たな国際的産学協力のモデルケースとも成り得ると注目してよかろう。 最後になったが、以上の成果は文部省の出版助成を受けて刊行したいと考えているところである。
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Report
(2 results)
Research Products
(18 results)