Project/Area Number |
06205201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 寿一 東京大学, 教養学部, 助教授 (30172894)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 霊長類 / 音声行動 / パントフ-ト / プレイバック実験 / チンパンジー / 言語の起原 / 比較心理学 |
Research Abstract |
昨年度までの結果から,野性チンパンジーの長距離音声であるパントフ-トには個体内,個体間,地域間の各レベルに変異性や可塑性がみられ,チンパンジーがこの音声を手掛かりに情報伝達を行なっていることが示唆された。今年度は,プレイバック実験を通じて,(1)音響特性の差異に応じた反応の変化みられるか,(2)反応する個体の側に個体差がみられるか,(3)通常時の行動とは違う反応パターンがみられるか,の各点について調査した。実験は京都大学霊長類研究所の放飼場で行い,タンザニアのマハレ国立公園と日本モンキーセンターで録音されたオスのパントフ-ト音を再生し,それに対する7個体の反応を記録した。 その結果,(1)Climax部の基本周波数のピーク値が高くなるほど,またBuildup部のテンポが速くなるほど,パントフ-ト発声反応回数が増加した。これより,被験体が壮年期の20代にピークをもつ音響パラメータに対して鋭敏に反応することが示唆され,チンパンジーはパントフ-トの声性情報のうちオスの地位と順位に関する情報に対してセンシテイブであると考えられた。 (2)飼育集団中でもっとも社会的影響力の強い,年長メスと2頭の雄が刺激音に対して強い反応を示した。この結果から,パントフ-トという誇示的な音声に対して,集団内の優位個体が誇示の応答をすると考えられた。(3)刺激音に対して被験体は平常時よりもより速いテンポのパントフ-トで応じた。これからも,被験体が誇示的な刺激に対してより誇示的に応じていることが示された。 以上より,パントフ-トは基本的には地位を誇示する機能があると強く推察された。今後は,刺激音の音響パラメータを操作したプレイバック実験を行なう予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)