Project/Area Number |
06205216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
板倉 昭二 大分県立芸術文化短期大学, コミュニケーション学科, 講師 (50211735)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 共同注意 / チンパンジー / コミュニケーション / 指さし / 心の理論 |
Research Abstract |
他者と注意を共有することを、共同注意と言う。得にそれが視覚に依存するときは、視覚的共同注意と呼ぶ。視覚的共同注意は、ヒトを含めた霊長類において、コミュニケーションの基本をなすと考えられる。本年度はおもに他者の視線の認識に主眼を置いて研究を遂行した。まず、成人を対象として前方に呈示された6つの刺激のうち、実験者がそのうちの一つをターゲットとして指示した。被験者は、実験者が示すターゲットを口頭で答えることが求められた。実験者の与える手掛かりは、(1)指差し、頭の動き、視線、すべてを使う、(2)頭、視線のみ、(3)視線のみ、(4)頭の動きのみ(サングラスで目を覆う)、の4条件であった。刺激間の距離は、10度、8度、6度、および4度であった。この結果、もっとも有効な手掛かりは、東部の動き+視線の場合であることがわかった。また、指差しは、ターゲット特定の精度を上げるのではなく、注意の喚起を促す機能を持つことがわかった。 さらに、フサオマキザル、チンパンジー、オランウータン、ヒト幼児を対象として、選択課題場面における実験者手掛かりの効果について分析した。与える手掛かりは、(1)正答をタップする、(2)正答を指差す、(3)正答に顔を近づけてみる、(4)正答を見る、(5)正答を目だけ(視線のみ)で見る、の5つであった。その結果、フサオマキザルでは、視線だけを手掛かりに使用することはできなかったがチンパンジー、オランウータン、ヒト幼児(18ケ月齢〜27ケ月齢)では、視線のみ、すなわち、眼球運動のみを手掛かりにして、正答を選択することができることがわかった。このことは、ヒトとヒト以外の霊長類の間にも、注意の共有があるレベルで成立することを示している。しかし、それが本当に他者理解や心的表象や、いわゆる心の理論といったことをベースとして成立しているかは今後の課題である。少なくとも、こうしたことを実験的に分析する素地を今年度は固めたことに意義があると思われる。
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