Project/Area Number |
06206105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 勇 京都大学, 東南アジアセンター, 助教授 (80093334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 美砂 筑波大学, 農林学系, 講師 (70192747)
遅沢 克也 愛媛大学, 農学部, 助手 (30233539)
山倉 拓夫 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10089956)
村尾 行一 愛媛大学, 農学部, 教授 (50012076)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 熱帯多雨林 / 沈香 / 小型林産物 / ブルック / ダヤク / マリナウ / 海域世界 / アラブ |
Research Abstract |
東南アジアの熱帯多雨林生態系は、世界でもっとも豊かな資源を有している。その中にあって、人々はどのように資源をとらえ、生かしてきたか、その実態について、具体的にモノを追跡していったことと、周辺海域世界とのつながりを歴史的に追ったことが本年度の主な実績である。 研究会は、荻野班との合同研究会も含めて4度、合宿形式で行い、本年のテーマにそって徹底した討論を行った。 地域の中心となるのは、ボルネオであり、この島におけるブルック統治下のサラワクにおける輸出入品目が19世紀から今日にいたるまでいかに移りかわってきたかが、議論された。その中でかつては輸出総額の40%を占めていたのが樹脂、野生ゴムを中心とする非木材林産物であったのが、ブラジルからパラゴムが導入されると、その地位は急速に失墜した。しかし、プランテーションは発達せず、中国人、マレー人、ムラナウ人、ダヤク人などによるすみ分けが行われた。 これらの資源の中でもっとも価値の高い沈香は、現在もボルネオ中央部の山地帯で採集されて、川をつたって下流の港市にはこばれジャカルタに集められる。そして、大陸部東南アジア各地の沈香と共にシンガポールに送られ、ここが沈香取り引きの中心地となっている。そして、その内の7割がアラブ圏へ、3割が中国圏へ送られている。沈香を通じて、地域によってそれを扱う商人が歴史的にすみ分けている事実も指摘され、東南アジアを中心とした物流の現状が明らかにされた。そして、モノをはこぶ船をめぐる航路と材料の問題、日本の林業との類似点と相違点などが明らかにされた。これらのさまざまな糸がからまりあって、ボルネオを中心とした熱帯多雨林世界の地域像が明らかになっていくことが今後の明るい展望として期待できる。 これらの成果は、できるだけ早い機会にとりまとめ出版する予定である。
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