星間分子の超音速ジェットフーリエ変換マイクロ波分光
Project/Area Number |
06209204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 康裕 東京大学, 教養学部, 助手 (60213708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 泰樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (40106159)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | フリーラジカル / マイクロ波分光 / 鉄カルボニル |
Research Abstract |
本研究の目的は、不安定分子種に適応したセンチ波領域での実験室分光によって、星間空間中における未知分子の帰属・同定に不可欠な分光学的情報を提供することである。これまでに、フーリエ変換マイクロ波分光法を超音速ジェット中での放電と組み合わせることにより、多くの不安定分子種について研究を行ってきた。本年度は、星間空間における金属元素の存在形態を明らかにする上で重要な、金属原子を含む多原子ラジカルに適用することを目指した。対象としたのは、不飽和型鉄カルボニルラジカル,Fe(CO)_n(n=1,3,4),である。これらをFe(CO)_5を超音速ジェット中でパルス的に放電することにより生成させ、その回転スペクトルを測定した。FeCOのスペクトルは、大きなスピン分裂を持つ3重項直線分子に典型的なパターンを示した。スペクトルの強度は極めて強く、^<56>FeCOばかりでなく自然比で存在する^<54>Fe,^<57>Fe同位体種も観測することができた。また、^<12>CO,^<12>C^<18>Oを試料ガス中に混ぜることによって、Fe^<12>CO,Fe^<12>C^<18>Oについてもスペクトルを測定した。以上5つの同位体種の回転定数から、Fe-C,C-O結合距離を精密に決定することができた。特にFe-C間距離は親分子のFe(CO)_5に比べて0.02Å以上も短く、COの不対電子のσ供与およびFeのd電子のπ逆供与がFeCO中ではより効率的に起こっていることを示す。Fe(CO)_3のスペクトルからは、このラジカルが三角錐型の構造(C_<3V>対称)を持ち、電子基底状態は3重項であることが明らかになった。Fe(CO)_4については、密集していて複雑なスペクトルであり現在解析中であるが、歪んだ四面体構造(C_<2V>対称)を持ち3重項電子基底状態であるという、分子軌道計算による予想と一致したものであると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)