Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Research Abstract |
本研究では、初対面の相手に要求,質問,謝罪,抗議という4種の課題状況で話かけるという状況を模擬した実験を行ない,相手の顔から読みとられる情報(年齢,表情)が発話行動にどのような影響をおよぼすのかを多面的に検討した.被験者の発話行動に関する従属変数としては,発話の文節数,敬語・丁寧語の出現パターン,相手の顔を知覚してから発話を開始するまでの時間,発話後に行う「話しかけやすさ」の評定,「発話の自然さ」の評定,発話の流暢さであった。 被験者は48名の大学生であった.各被験者は,12枚の人物(大学生・40代成人)が怒り,幸福,中性(真顔)の表情を表出した顔写真に対し,「ペンを借りる」「郵便局までの道を尋ねる」「駐車場でぶつけてしまった車の持主に謝る」「前の晩にうるさくしていた隣人に注意する」の4種の課題状況で,できるだけ自然な表現で話しかける課題を行った.課題の遂行中の被験者の表情,発話表現は小型ビデオカメラで録画した. 被験者の発話行動を分析し,次の結果が得られた. (1)発話表現の文節数は課題状況によって異なるが,相手の年齢,表情による違いはみられない.(2)発話開始時間は,同じ課題状況であっても相手の表情により異なった.相手が幸福顔,中性顔である時よりも怒り顔の時には発話開始時間が遅くなった.:(3)発話行動の後に行なった「話しかけやすさ」「話しかけの自然さ」の自己評価においても,課題状況による違いと相手の表情による違いがみられ,謝罪や抗議は質問や要求よりも話しかけにくく,また相手が幸福顔である場合には話しかけやすく、怒りを表出している場合には話しかけにくいと評価された.また,課題状況と相手の表情の間に交互作用がみられ,謝罪では幸福顔に対する話しかけやすさが減じる傾向がみられた.
|