Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 1994: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
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Research Abstract |
【方法】昨年度開発した血管培養システムを用いて血管培養を試みた.無菌的に摘出した家兎頸動脈を灌流培養,無負荷培養,対照の3群に分けた.灌流培養群では試料を装置に取付けて内圧100mmHg,壁剪断応力約10dyne/cm^2の条件で3日間培養した.培養液にはDMEM+20%FCSを用いた.無負荷培養群では試料を培養槽内に静置した.両群とも培養終了時に内圧負荷試験を行い内圧-外径関係を求めた.次に10^5Mのノルアドレナリンで平滑筋を収縮させた時の内圧-外径関係を求めた.平滑筋収縮前後の同一内圧における外径を比較して,内圧-外径収縮量関係を求め,平滑筋活性の指標とした.実験終了後,血管を輪切りにして実体顕微鏡下で無負荷時の内外径,全壁厚,中膜壁厚を求めた.対照群では摘出後6時間以内に同様の実験を行った. 【結果】内圧-外径曲線には灌流培養群-対照群間では有意差がなかったが,無負荷培養群では100mmHg以上の外径が対照群に比べ有意に小さく,曲線の傾きが急峻になる内圧も有意に低下していた.内圧-収縮量曲線に関しては収縮の最大値には3群間で有意差がなかったが,生理的内圧(100mmHg)での収縮量は対照群に比べ両培養群で有意に低下していた.また無負荷時の内外径・全壁厚は3群で有意差がなかったが,中膜壁厚は無負荷培養群で対照群に比べて有意に薄かった. 【考察】家兎頸動脈は壁厚が100μm程度と薄いため,壁内外からの拡散栄養で活性を維持できるのではないかと予想した.ところが生理的な力学条件下で血管を培養しても,血管の収縮特性には変化が現れた.一方,無負荷状態で培養すると,収縮特性だけでなく内圧-外径関係や中膜壁厚にも変化が現れた.このことは,血管の形態や機能を維持するためには何らかの力学的負荷が必要なことを意味すると考えられる.
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