宇宙における芳香族化合物の生成消滅反応の理論的究明
Project/Area Number |
06219212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
相原 惇一 静岡大学, 理学部, 教授 (40001838)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 宇宙化学 / PM3分子軌道法 / ベンゼン系炭化水素 / PAH / PAHイオン / フラーレン / 振動スペクトル / ISOLATED PENTAGON RULE |
Research Abstract |
1.宇宙における芳香族炭化水素の存在様式の解明を目的として、PM3分子軌道計算を用い、2個以上のベンゼン環が縮合した典型的な多環式芳香族炭化水素(PAH)とその分子イオンの振動構造の解析を行った。PAHのような交互炭化水素はイオン化すると、炭素骨格振動の強度が著しく大きくなり、2価の陽イオンになると、その傾向がさらに増大することがわかった。この傾向は宇宙の紫外線照射場における赤外スペクトルの強度分布と一致する。 また、PAH分子の1価および2価の陰イオンの振動構造の解析を行ったところ、PAH分子では1価の陽イオンと1価の陰イオン、2価の陽イオンと2価の陰イオンの振動スペクトルがきわめて類似していることがわかった。PAH分子の同じ価数の陽イオンと陰イオンの類似性は、すでに電子スペクトルで見つかっているが、今回の発見は振動スペクトルでも同じ関係が成り立つことを意味する。 2.最近宇宙でもフラーレンが見つかって話題になっているが、安定なフラーレン分子では12個ある5員環が互いに接していてはならない。この規則性をISOLATED PENTAGON RULE(IPR)という。我々は我々独自のグラフ理論を展開して、分子全体の芳香族性に対する各パイ結合からの寄与を見積もることに成功し、フラーレン分子上で2個の5員環が縮合したときには、2個の5員環に共有されたパイ結合がきわめて不安定になることを発見した。この発見は、長らく誤って解釈されていたIPRの証明となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)