Project/Area Number |
06222210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 豊 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (90192468)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 初期地球 / 化学分化 / 原始地殻 / 微惑星衝突 / 衝突融解 / 部分熔融層の重力安定性 |
Research Abstract |
地球型惑星の形成期には微惑星衝突や原始大気の保温効果によってマグマオーシャンが形成されると考えられている。本研究では、マグマオーシャンの分化と、その結果生成される原始地殻の実体とその進化を明らかにするために、マグマオーシャンの冷却分化過程および原始地殻形成過程を熱・物質輸送・進化モデルを用いて検討した。(1)一次元球対称のモデルを用いて、マグマオーシャンが完全に固結するまでの熱・化学進化を追跡し、(a)マグマオーシャン進化の最終段階で浅部マントルに鉄に富んだ層が形成されることを示した。また、(b)分化の進行はマントルの粘性率や原始大気の保温効果に強く依存し、固相と液相の粘性率の差が大きいほど、また原始大気の保温効果が大きいほど分化は進みやすいことを示した。(2)以上の結果を部分熔融層の重力安定性の理論に基づいて理論的に説明した。(3)原始地殻形成過程においては水平方向の温度不均一が重要な役割を果たすことが明らかになった。平均温度は融点以下であっても、暖かい部分で融解が起これば化学分化が進行し、しかもその効率は平均温度が融点以上の場合より大きい。(4)初期地球マントルの水平方向の温度不均一は、マントル対流の上昇域と下降域の温度差に基づくもの以外にも、微惑星衝突による加熱によって発生する。このどちらの効果が原始地殻形成に寄与するか検討し、初期地球では微惑星衝突による地殻形成の効果のほうが、内部の対流に基づく地殻形成よりも大きな効果を持っていることを明らかにした。微惑星衝突が惑星の分化を促進する効果は従来無視されてきたが、微惑星の衝突では深部まで熔けるため、これによって分化したものは対流によって分化したものと組成が違っている.今後はこの質的な違いについても検討していく必要がある.
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