Project/Area Number |
06224221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金藤 敬一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (70124766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 授 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (10226772)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | フラーレン / C_<60> / 電気化学 / 還元 / 吸収スペクトル / 薄膜 |
Research Abstract |
フラーレンのC_<60>結晶は、弱いファンデアワールス結合により固体を形成し、室温では高速回転をして面心立方格子(fcc)を取ることが知られている。アルカリ金属などで還元すると、電子は固体内を非局在化して金属的な電導度を示し、さらに比較的高い超伝導転移温度を示す。従来、還元による光学遷移の変化は溶液状態での研究が殆どであった。本年度は、C_<60>薄膜と固体電解質を用いて、還元の価数を容易に制御できる電気化学的方法により、還元過程での吸収スペクトルの変化を詳細に測定し、溶液と固体状態でのスペクトルの違いから、C60の固体効果について調べた。さらに、アルカリ金属の気相ドープによるスペクトル変化についても測定を行った。 固体電解質を用いて還元したC60薄膜と溶液中でのアニオンの吸収スペクトルは、ピークの位置、スペクトルの形状ともに一価、二価の還元状態では殆ど違いはなかった。さらに、アルカリ金属の気相ドープによるスペクトルは多少スペクトル幅が広い程度でそのピーク位置は違わなかった。 これらのことから、C60は固体状態でも分子間の相互作用は溶液状態と同じ程度に非常に小さいか、あるいは、溶液状態では、ある程度分子が集合した状態を取っている可能性を示唆していることが分かった。前者は還元固体の電導度が比較的小さいこと、および超伝導移転温度が高い理由の状態密度が大きいことと首尾一致していると言える。すなわち、C60固体の分子間極めて相互作用は従来の分子性結晶の中でも弱い範疇に入ることが分かった。
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