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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,リン原子上に不斉中心を有する新規なホスフィン配位子を合成し,それらを用いて有用な不斉触媒反応を開発することである。この目的のために本年度は,光学活性ビスホスフィノエタンの合成とその不斉水素化能について検討した。 ジクロロフェニルホスフィンよりo-エチルフェニル(1ーメンチルオキシ)フェニルホスフィン-ボランを合成し,液体クロマトグラフィーにより両ジアステレオマ-を分離した。それらの構造は各種スペクトルによって確認するとともに,リン原子の絶対配置は単結晶X線解析で決定した。次に,一方のジアステレオマ-をメチル化,酸化的二量化,脱ボランを経て,光学的に純粋な1,2-ビス[o-エチルフェニル(フェニル)ホスフィノ]エタンに変換した。これをロジウム(I)錯体とし,デヒドロアミノ酸の不斉水素化に適用した。その結果,92%の不斉収率で反応が進行することがわかった。従来DIPAMPに代表されるこの種の配位子の不斉触媒能が金属に対する配位に起因すると考えられていたが,o-メトキシと異なり金属に配位しないo-エチルをもつ配位子によっても92%の高い不斉収率が得られた事実は,立体効果のみによってもリン原子上の両芳香環の非等価性が高まることを示すものである。 現在,置換基の大きさと不斉触媒能の関係を明らかにするために,o-メチル,o-イソプロピル,o-t-ブチル,9-アントリル基をもつ関連する配位子を合成中である。
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