イオン伝導性高分子を電子移動反応場に用いた固体電気化学
Project/Area Number |
06226228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡辺 正義 横浜国立大学, 工学部・物質工学科, 助教授 (60158657)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | イオン伝導性高分子 / 高分子固体電解質 / 固体電気化学 / 超微小電極 / 電子移動反応 / レドックス反応 / 混合伝導体 / エレクトロンホッピング |
Research Abstract |
電気化学系を構築するためには電子移動反応場を提供するイオン伝導性の媒体が必要であり、これまで水あるいは有機溶媒等の液体溶液が用いられてきた。しかし近年、固体状態でイオンを高速にかつ選択的に伝導できる高分子の研究が進み、この状況は、急速に変化してきている。本研究の目的は、電子移動反応の場にイオン伝導性高分子を用い、この中に溶解あるいは修飾したレドックス錯体の、電子移動反応の特徴を明らかにすることにある。 イオン伝導性高分子は、一種の固体溶媒であり、この中に電解質を溶解する事により、イオン導電性が発現する。さらにこの高分子中には、レドックス錯体を溶解あるいは化学修飾によって導入する事ができる。イオン伝導性高分子の導電率は、液体溶液と比較すると低いが、電気化学測定に超微小電極を適用する事によって、定量的な固体電気化学測定が実現できる。本研究を通し、これまでまったく未知であった高分子バルク中での電子移動反応の特徴を明らかにしていく。これを、被反応種であるレドックス錯体の分子運動性が大きく抑制された状況下での電子移動反応モデルとして位置付ける。 本年度は、昨年度に合成し電子移動反応を確認した錯体導入方法の異なる二系列のイオン伝導性高分子中での、電子移動反応の詳細な解析を行った。これまで測定例のない、高分子バルクという環境下での電子移動反応の特徴を見出し、動的粘弾性測定システムによって明らかにされる高分子ダイナミックスとの相関を明らかにした。 LiTCNQを溶解したポリグリシジルエーテル系イオン伝導性高分子では、錯体の拡散係数と電子移動反応速度を同時に求める事ができたため、その相関を明らかにした。特に高分子鎖のダイナミックスが遅い状況下での電子移動反応の特徴を示すことができた。また、共重合によって錯体の動きを止めた系では、高分子中の錯体濃度すなわち錯体間距離は、共重合組成の制御によって自由に変化させることができる。レドックス活性モノマーとして電子交換速度定数の大きく異なるビニルフェロセンとビニルフェノチアジンを選択し、これらの因子の変化が電子移動反応に与える影響を検討した。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)