Project/Area Number |
06227238
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40126008)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | ブレオマイシン / ニッケル(III) / Z型DNA |
Research Abstract |
制癌性抗生物質ブレオマイシンはそのピリミジン部位で鉄錯体を形成し、酸素を活性化する一方、ビチアゾール部位でDNAに結合してDNAを酸化切断する。最近ブレオマイシンのニッケル(III)錯体がこれとは根本的に異なる様式でグアニン塩基を特異的に認識し、ピペリジンで処理するとその箇所が切断されることが明らかにされた。その際グアニン塩基のN(7)位がニッケル(III)錯体に軸配位することが示唆されている。 研究代表者らはユニークな三次元構造をとるtRNA^<Phe>とブレオマイシンのニッケル(III)錯体との相互作用を検討し、外側に露出したD-ループ部分のG_<18>、G_<19>およびG_<20>がアニリン処理により選択的に切断されることを見いだした。これよりブレオマイシンのニッケル(III)錯体は核酸の高次構造を識別していることが示唆された。 ブレオマイシンの鉄錯体はB型DNAと反応するがZ型DNAとは反応しない。しかしZ型DNAではN(7)およびC(8)が外側に露出しているからこの部分がニッケル(III)錯体と反応する可能性が考えられた。そこでブレオマイシンのニッケル(III)錯体とZ型DNAとの相互作用を調べるため、(dC-dG)n配列を含むDNAを用いた実験を行なったところ、高塩濃度下でZ型コンフォメーションをとっているDNAに対する反応性がみられた。これよりブレオマイシンのニッケル(III)錯体は二本鎖DNAがB型コンフォーションをとっているときには反応せず、Z型になってはじめてそのグアニン塩基と反応することがわかった。 このようにブレオマイシンのニッケル(III)錯体は核酸の局所高次構造の解析試薬として有用であることが示された。
|