遷移金属錯体の配位過程と反応過程における分子認識機能に関する理論的研究
Project/Area Number |
06227256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
榊 茂好 熊本大学, 工学部, 教授 (20094013)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1994: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 理論的研究 / ヒドロシリル化反応 / エチレン挿入反応 / 白金ヒドロシリル錯体 / トランス効果 / agostic相互作用 |
Research Abstract |
エチレンの配位とそれに引き続いて起こる金属-ヒドリド、金属-シリル結合への挿入反応は、オレフィンのヒドロシリル化反応、ビスシリル化反応の素反応過程として重要である。そこで、1aおよび1b式について理論的研究を行なった。1には3つの異性体がありエチレンの配位がもっとも容易なものは、H,SiH_3配位子が互いにトランス PtH(SiH_3)(PH_3)+C_2H_4→PtH(SiH_3)(PH_3)(C_2H_4)→PtH(CH_2CH_2SiH_3)(PH_3) (1a) 1→Pt(C_2H_5)(SiH_3)(PH_3) (1b) 位に位置し、エチレンのトランス位にPH_3が配位している構造であった。HとSiH_3が互いにシス位に位置している場合、Pt-SiH_3へのエチレン挿入、あるいはPt-Hへのエチレン挿入が可能である。各々の挿入反応の遷移状態(TS)構造をHartree-Fockレベルで、エネルギー変化をMP4レベルで求めたところPt-SiH_3へのエチレン挿入は54kcal/molの活性障壁(Ea)で進行し、挿入直後の生成物は、PtとSiH_3のH原子間に強いagostic相互作用(約19kcal/mol)を含んでおり、このagostic相互作用を切断した後、最も安定な生成物へ異性化する。同様な検討をPt-Hへのエチレン挿入について行ったが、この反応は21kcal/molのEaで進行するが、逆反応は、ほぼ障壁無しで起こる。挿入直後の生成物は、β-HとPt間に強いagostic相互作用(約17kcal/mol)を含んでおり、このagostic相互作用を切断して異性化し、最安定な化合物となる。HとSiH_3が互いにトランス位に存在する場合のPt-SiH_3への挿入反応は16kcal/molの活性障壁で、Pt-Hへの挿入反応は4.4kcal/molの活性障壁で進行する。これらの挿入反応の場合最も安定な生成物が直接生成する。以上の結果より、エチレンはPt-SiH_3よりPt-H結合に挿入しやすい事、HとSiH_3が互いにトランス位にあると挿入が容易であることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)