ケテンシリルアセタールを用いる高立体選択反応系の構築
Project/Area Number |
06227268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | ジアステレオ選択性 / ケテンシリルアセタール / ルイス酸 / エノン / 電子移動 / ルイス酸錯体 / 反応機構 |
Research Abstract |
ジアステレオ選択性に対するケテンシリルアセタールの嵩高さの影響を調べてみると顕著な効果が認められた。TBS,OBu^tケテンシリルアセタールは99:1以上のシン選択性を示し、嵩高さが減少するに連れて立体選択性は低下する。明らかに電子移動反応を抑えることにより立体選択性が向上することが分かる。 ルイス酸の選択も重要である。TiCl_4はSnCl_4,Et_3SiClO_4よりも高いシン選択性を与える。チタンの酸素親和性のためにTiCl^4はカルボニル酸素に強く配位する。そのためにエノンの存在下ではTiCl_4は比較的酸化電位の大きい嵩高いケテンシリルアセタールからはもうこれ以上電子を受け取ることができない。従って、電子移動が完全に抑制される。一方、SnCl_4,Et_3SiClO_4はそれほど強い錯体を形成しないのでその電子受容性はエノンが存在しても変わらない。さらに電子移動を引き起こさないルイス酸でも、Et_2AlClを用いるとTiCl_4の場合よりも選択性は若干低下する。この結果はエノン-ルイス酸錯体の構造が立体選択性に強く影響することを示すものである。 高立体選択性を得るための第三の条件はエノンの構造にある。^tBuケトン、メシチルケトンを用いると良好なな選択性が得られるがアニシルケトン、フェニルケトンでは選択性は認められない。即ち、ルイス酸に強く配位するためにはこれらの基は電子供与性でなければならないが、それだけでは不十分でさらに立体的に嵩高いことが必要であることが分かる。 以上、反応機構の解析により従来立体選択性が得られないとされてきた向山-マイケル反応も反応の設計次第では十分な選択性が達成されることが明らかになった。今後は、遷移状態の分子軌道計算を行ない立体選択性発現のための指針をより明確にする。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)