Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
セラチア菌からの分泌されるセラチアプロテアーゼは,抗炎症性などの薬理作用を持つ亜鉛金属蛋白質分解酵素である。触媒活性部位の亜鉛からの異常分散効果を利用するX線構造解析により,申請者らは立体構造を明らかにしていたが,さらに2.0Å分解能で構造の精密化を行った。その結果,亜鉛イオンはC末端ドメインの大きく,深い溝の底の位置しており,His176,HiS180,HiS186,Tyr216それに水分子が歪んだ三方両錐型で結合していた。その水分子はGlu177と水素結合していた。 X線結晶構造解析に利用する波長領域では,CaのX線異常分散効果は非常に小さいために利用されていなかったが,高エネルギー物理学研究所放射光施設にて,波長1.283Åで測定した回折強度データのバイフット差フリエ-合成を行うことで容易にできるようにし,セラチアプロテアーゼには少なくとも4つのCa^<2+>が結合していることを明らかにした。これにより,セラチアプロテ-ゼで初めて見いだされβ-シートコイルと名付けられたまったく新規なモチーフ構造の形成にCa^<2+>イオンが不可欠であることを明らかにした。また,Caからの異常分散効果が大きな波長1.500Åでも,既に回折強度を測定を行い,解析は現在進行中である。 セラチアプロテアーゼ結晶から亜鉛金属を除いたアポ酵素結晶は10mM_EDTAを含む35%飽和硫酸アンモニウム溶液(pH5.2)に4℃,6日間侵漬することで調製でき,これを2mM_MnCl_2を含む35%飽和硫酸アンモニウム溶液に2日間侵漬することでハロ酵素に変換できた。しかし,この調製では,大量の結晶がいること,長時間の保存に適さないことが判明した。そこで,溶液状態でハロ酵素に変換する方法を確立し,現在結晶化を試みている。 なお,結晶化は本研究費で購入した恒温装置の使用で,安定して作成,保存ができるようになった。
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