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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究では,電子波デバイスの工学的に見通しのよい解析・設計法を開発することを目的として,まず,電子波伝搬の回路論的取扱いの定式化を行った.ここでは,ヘテロ界面に斜入射する電子波を対象としているので,これまで回路論的には取り扱うことができなかった電子波導波路に対しても,その等価回路表示が可能になった.また,非対称二重量子井戸からなる電子波方向性結合器を提案し,有効質量の変化を考慮して,その結合特性を等価回路解析した結果,構造が非対称であっても完全結合長が存在し,こうした方向性結合器がフィルタ機能やスイッチング機能を有することを明らかにした.次に,電子波導波路の最も基本的な構造である3層電子波導波路を取り上げ,その完備直交モードに対する解析的表現式を与えるとともに,光導波路における完備直交モードとの相違点を明らかにし,電子波導波路に特有のモードの存在を見出した.さらに,こうした完備直交モードを利用して電子波導波路不連続による電子波の錯乱特性を評価する一方法を提示し,電子波の場合には光の場合と違って,開放形であっても原理的に放射のない電子波回路を構成し得る可能性があることを示唆した. 今後は,量子井戸のみならず,量子細線構造電子波導波路や量子箱構造電子波共振器,およびこれらに外部静電場,外部静磁場,さらには交流電場が印加された場合の電子波の挙動を詳細に調査するとともに,光デバイスでは存在しないような新しい機能を有する量子位相デバイスの実現の可能性を探る.
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