Project/Area Number |
06239227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長村 利彦 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90117200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 浩司 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 酸化還元分子組織系 / 光誘起電子移動反応 / フェムト秒ダイナミクス / 4、4'-ビピリジニウム塩 / イオン対電荷移動錯体 / 光生成ラジカル / 光誘起エレクトロクロミズム |
Research Abstract |
電子受容性の4、4'-ビピリジニウムイオンの対アニオンとしてテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートアニオン(TFPB^-)とヨ-ジド(I^-)を用いて塩を作った。前者は淡黄色、後者は橙色を呈しイオン対電荷移動錯体の形成が示された。これらのイオン対電荷移動吸収帯をフェムト秒チタンサファイアレーザーの2倍波(400nm)により溶液中で励起し、サブピコ秒のダイナミクスを検討した。いずれの場合もサブピコ秒の時間域で約600nmに吸収極大を持ち4、4'-ビピリジニウムラジカルカチオンに帰属できる過渡吸収スペクトルが観測された。この結果からイオン対電荷移動錯体の励起により超高速光誘起電子移動反応がおこることが明らかになった。600nmの吸光度はいずれの場合も約0.3psで立ち上がった。これは励起レーザーのパルス幅に対応していると考えられる。このような超高速色変化はイオン対電荷移動錯体の光励起状態が即電荷分離状態であることを強く示唆している。 これらの過渡吸収スペクトルの減衰は、対アニオンによって著しく異なることがわかった。即ち、I^-塩では約80%が1.9psの寿命で極めて速く減衰し、ケージから抜け出した電荷分離種によると思われる残りもレーザーの繰り返し(10Hz)の間には完全に消失した。これはI^-塩で定常光によるイオン対電荷移動錯体の光励起で色変化が起こらないことと対応している。一方、定常光によるイオン対電荷移動錯体励起で可逆的色変化が起こるTFPB^-塩では、過渡吸収の46%が80psの寿命で減衰し、残りは極めて長寿命であった。このような結果には、イオン対電荷移動錯体を構成するイオンの酸化還元電位や立体構造が影響していると考えられる。超高速光スイッチングや光記録への応用も期待され、さらに他の組み合わせや微視的環境での検討が必要である。
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