Project/Area Number |
06239258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
伊吹 和泰 同志社大学, 工学部, 専任講師 (30201940)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 拡散律速反応 / 記憶効果 / フォッカー・プランク方程式 |
Research Abstract |
拡散律速反応に対する理論的研究において重要な問題である以下の二点について研究した。 まず、溶液中の分子の拡散係数を見積もる際にもっとも頻繁に使われるストークスの法則が必ずしも実験値を正確に説明出来ないことに着目し、「ミクロな」粘度を考慮に入れれば法則がどの程度改良されるかを連続体モデルに基づいて計算した。ミクロな粘度の効果は、拡散係数のストークス則からのずれだけでなく、他の輸送性質(回転拡散や溶液の粘性)との相関も説明出来ることが明らかになった。 次に、拡散律速反応の速度定数の時間依存性に対する摩擦の記憶効果を解析した。反応のモデルとしては、反応開始以前に中心球の周りに一様に分布していた反応物分子が反応開始後中心球に吸収されるというもので、従来のスモルコフスキ理論と同等のものである。ただし、運動方程式の中の慣性項と摩擦の記憶の効果が、通常の拡散方程式では無視されているが、ここで用いた一般化フォッカー・プランク方程式では両方が考慮されており、フェムト秒からサブピコ秒の現象を解析するのに適している。数値計算によって解析を行った結果、本研究で得られた反応速度定数は時間とともに単調に減少し定常値に達するが、その時間変化は通常の拡散方程式に基づくモルコフスキ理論よりも緩やかであり、摩擦の記憶効果が長時間に及ぶようになるとそれがさらに緩やかになることが解った。今後、蛍光消光実験などと比較して、理論をさらに改良していく予定である。
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