Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
LDLは,コレステロールエステル(CE)とトリグリセリド(TG)から成る核を,主としてホスファチジルコリン(PC)とコレステロールから成る一枚膜が外からとり囲んでおり,さらに分子量55万のアポタンパクB-100が全体をとりまくという,特徴ある超分子複合体である.ラジカルの攻撃を受け,酸化されるのは主としてPCとCEに含まれる高度不飽和脂肪酸部位である.興味深いことに,PCとCEの相対的酸化反応性が環境に大きく依存することを見出した.すなわちLDL中ではCEがPCよりも酸化されやすいこと、同じものでもt-ブチルアルコール中ではPCとCEが同程度酸化されやすくなり、一方ヘキサン中ではPCだけが圧倒的に酸化されることを認めた. LDLの構造と反応性,その場での抗酸化物の作用機序を明かにするために,ドキシルステアリン酸をスピンプローブとしてLDL内にとりこませ,そのドキシル基の位置を変えることにより,LDL内の流動性,反応性を検討した.また,ドキシルステアリン酸のコレステロールエステルを合成し,コレステロールエステル転移蛋白(CETP)を用いてLDL内にとりこませ,同様の検討を行った.その結果,LDLの表層は流動性が低く,内部に入るほど流動性が高くなること,中心の核の流動性が大きいことが分かった.ドキシル基のニトロキシドはアスコルビン酸(ビタミンC)により速やかに還元されるが,LDLの内部に入るほど,水層のアスコルビン酸による還元速度が遅くなることを明らかにした.これはビタミンCとEによる相乗効果と関連して重要である. LDLの酸化反応が連鎖的に進行し、CEとPCのヒドロペルオキシドを主生成物として与えることを確認した.アポ蛋白B-100の酸化に伴い、開裂による低分子化と橋かけ反応による高分子化が同時に進行するとともに、負負荷が増加していくことを確認した.そして重要なことは、それにつれてマクロファージによるとりこみも増加した.
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