Research Abstract |
八丈島産海綿Theonella swinhoei(30kg)から,溶媒分画,ゲル濾過,および逆相HPLCなどを用いてpolytheonamideA,B,およびCをそれぞれ50mg,70mg,および20mg単離した. まず,polytheonamide B中のアミノ酸残基の立体化学を調べた.すなわち,polytheonamide Bを4NHCl/EtOH中で部分加水分解後,逆相HPLCでフラグメントペプチドを分取した.得られた120のフラクションそれぞれについて,FAB-MS/MSを測定し,含まれるフラグメントペプチドの組成ならびに配列を調べた.次に,このうち9個の画分を用いて,構成アミノ酸の立体化学を決定した.第一に,ダンシル化した後に加水分解し,得られたダンシルアミノ酸をキラルカラムを用いるHPLCで分析し,N末端アミノ酸の立体化学を決定した.第二に,N末端から2番目のアミノ酸残基の立体化学を,エドマン分解でN末端のアミノ酸を除いた後に同様の手法を用いて決定した.さらに,フラグメントペプチドの完全加水分解物をMarfey試薬で誘導体化後,HPLC分析に付し,構成アミノ酸の立体化学を明らかにした.この結果,立体化学が不明であった28残基のうち20残基の立体化学を決定できた.また,立体化学が未決定の異常アミノ酸のうち,β-methylglutamic acidの4種の異性体を合成した. 一方,polytheonamide BのCDCl_3/CD_3OHでのNMRデータをもとにして,ディスタンスジオメトリー計算を行った.立体化学が未決定のアミノ酸残基については,ペプチド鎖全般についてD型とL型のアミノ酸が交互に存在するものと仮定した.計算の結果,polytheonamide Bは予想されたとおり6-7残基で1回転する螺旋型のコンフォメーションをとることが判明した.なお,立体化学が未決定の残基の1つのDLを逆転させると,NMRデータを満足するコンフォメーションを導くことができなかった.
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