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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究は,イオンチャンネル蛋白等のレセプター蛋白を用い,人工脂質二分子膜を特異的複合場として,レセプター蛋白が構造識別に基づいて生体イオン,分子を認識して発現するtrans-membrane signallingの機能の特性を,基質認識に伴う情報変換・増幅の選択性,感度などの観点から評価することを目的とした. 1)ラット脳から抽出したグルタミン酸受容イオンチャンネル(GluR)蛋白質を用い,それを平面脂質二分子膜に包埋して,膜成形初期の膜抵抗とチャンネル電流発現の関係を検討した.その結果,膜抵抗値とGluRのプロテオリポソーム融合の確率の間に経験則を見い出した.また,平面脂質二分子膜に同時にNMDA及びnon-NMDA型GluRを包埋し,アゴニストであるNMDA及びグルタミン酸イオンを順次,膜に接する溶液に加えることにより観測されるNMDA及びnon-NMDA型のGluRによるチャンネル電流を測定した.チャンネル電流の大きさの比をチャンネル活性の指標とすることにより,抵抗値の異なる膜間でもその比を基にアゴニスト同士の化学選択性を定量的に評価できることが分かった. 2)カルモジュリン(CaM)は膜蛋白質ではないが,CaMをCa^<2+>に対する感応素子として利用し,Ca^<2+>の結合により誘起したCaMと固定化した合成ペプチドM13との結合による三元錯体の量からCa^<2+>濃度を求める新規化学センシング法を創製し,三元錯体の量を評価するためには,表面プラズモン共鳴(SPR)を使用し,CaM-金属イオン錯体が金電極上のデキストラン膜に固定化されたM13に結合することにより生ずる化学修飾膜の誘電的変化に起因する表面プラズモン変化から,カルシウム濃度依存性と金属イオンに対する選択性を評価した.その結果,Ca^<2+>の検出限界として3.2×10^<-8>Mが得られた.更にMg^<2+>,Li^+,K^+の共存下Ca^<2+>に対して"all or none"型の特異的応答が得られた. 3)トリフルオロメチル置換テトラフェニルホウ酸(TFPB)等の負の荷電サイトを平面脂質二分子膜包埋することにより,TFPB濃度と膜コンダクタンスの間に相関を見い出した.この結果は,包埋する荷電サイトの数を制御することによって,任意の膜抵抗を有する二分子膜系で作成できる可能性を示す.更に,その結果インピーダンスマッチングの関係で測定が容易でなかったあるいは不可能であった脂質二分子膜系の膜電位の測定を実際に多くの膜系で飛躍的に容易にした.
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