部位特異的脱硫酸化による硫酸化多糖の超分子形成機能の変換
Project/Area Number |
06240233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 三郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (00028193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 良 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教務職員 (40163232)
林 加恵子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (00214544)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 硫酸化多糖 / ヘパリン / 脱硫酸化 / 超分子形成 / 部位特異性 / 血液凝固 / 多糖分子構造 |
Research Abstract |
我々はトリメチルシリル化試薬であるN,O-ビストリメチルシリルアセトアミド(BTSA)が硫酸糖の6位特異的な脱硫酸化に有効であることを見いだしている。今回、BTSAを〈1〉硫酸化多糖の脱硫酸化に用いて構造決定に応用し、〈2〉ヘパリンの脱硫酸化に適用し、本処理による構造変化と超分子形成能の変化を考察した。 〈1〉BTSAによる脱硫酸化の硫酸化多糖の構造解明への応用 紅藻から得られる多糖は多くの場合→3)β-Gal(1→4)α-Gal(1→の2糖反復単位から構成され、この骨格が硫酸化された構造をとっている。今回、紅藻ハナフノリ(Gloiopeltis complanata)から得られた硫酸化多糖を常法通りメチル化分析した結果とBTSAにより脱硫酸してからメチル化分析した結果とを比較検討した。この結果、6位の硫酸基はBTSAにより特異的に脱離し、多糖中の6位に硫酸基が結合していたことが確証された。このように本脱硫酸化法は硫酸化多糖の構造決定にも有用であることが分かった。 〈2〉BTSAによるヘパリンの部位特異的脱硫酸化 ヘパリンは血液凝固系においてアンチトロンビンIII(ATIII)と相互作用し、トロンビンに対する阻害活性を増強する。ヘパリンとATIIIとの相互作用にはヘパリン中に特定の硫酸化されたATIII結合部位の存在することが必須である。ヘパリンをBTSAで処理し、処理前後の構造を組成分析、^<13>C-NMR、酸素消化後の2糖分析などにより比較したところ、予期した通り6位の硫酸基のみが脱離し、他のO-硫酸基やN-硫酸基は脱離しなかったが、通常の硫酸化多糖の場合とは異なり、6位の硫酸基の脱離は不完全であった。BTSAによる処理を反復しても、新たな硫酸基の脱離は認められなかったので、BTSA処理により6硫酸基はランダムに脱離するのではなく、特定の位置の6硫酸基のみが脱離するものと考えられた。処理前後のヘパリンのATIIIとのアフィニティークロマトグラフィーおよびヘパリン存在下でのATIIIのトロンビン阻害活性の比較より、BTSA処理により脱離した硫酸基はアンチトロンビンIIIとの結合に関与しないものであり、ATIII結合性の硫酸基には影響がないと示唆された。以上のようにBTSAのヘパリンの脱硫酸化に対する部位特異性を明らかにし、さらに有用な性質を持ったヘパリン誘導体を製造し得る可能性を見いだした。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)