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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
(1)電子分光装置の整備改良 老朽化の著しい油回転ポンプ、油拡散ポンプ、トラップ、真空バルブ等を新規に導入し、排気系の整備をおこなった。また、従来のイオン化室に代えて、高温まで加熱が可能で、しかも少量の試料で測定できるイオン化室を設計製作した。次年度予定している固体試料の測定に必要な試料冷却装置を試作した。 (2)Ln(C_5H_5)_3の測定と解析 上述の装置を用いて、解析の基礎となるM(C_2H_5)_2についてMAESとUPSの測定をおこなった。また、Ln(C_5H_5)_3(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Sm,Er)では加熱温度、昇華速度等について最適条件を決定し、UPSの測定をおこなった。その結果、以下のことが明らかになった。 (a)Co(C_5H_5)_2等遷移金属錯体と比較すると、Ln(C_5H_5)_3ではCpπ_2軌道のイオン化エネルギーが約1eV小さくなっていることがわかった。これは、Ln(C_5H_5)_3ではイオン結合性が高く、Cp環からの電子が出やすくなったことを示す。 (b)a_2軌道のエネルギーは、La(C_5H_5)_3からCe(C_5H_5)_3で低下し、その後上昇することを見出した。この結果は、Cpπ軌道間のthrough-space相互作用とCpπ軌道とLn4f_<y(3x^2-y^2)>軌道間のthrough-bond相互作用によるものであり、Ln(C_5H_5)_3ではf軌道が共有結合に少なからず関与していることを示す。
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