Research Abstract |
(1)10-タングストランタニド錯体(LnW10036n-;LnW10)にH202を加えるとパーオキソ錯体が生成することをin situ分光法で明らかにした。H202-CeW10反応系について特にそのユニークな推定モデルを提案した。この錯体は極めて可逆的に振舞うことよりアルコールの酸化触媒反応に適用した。1-hexanolや2-Octanolでは低い収率(5-30%)となったが、benzyl-alcoholやbolneolからは極めて高い収率(85-95%)で対応するaldehidesが得られた。このことよりH202-CeW10は穏和で安定な酸化触媒となることを結論した。(2)La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,およびYbを含む一連のLnW10を合成し、ICP,UV-vis,FT-IR,FT-Raman,183W-NMRにより同定、評価した。Ln-O-Wラマン伸縮バンドはLn(III)のイオン半径およびf^nの理論的磁気モーメント(ν theor)と良い相関性を示した。Ln(III)に直接配位した(WO6)_5ユニットの183W-NMR化学シフトはfnの高いエネルギーの分光学項のspin-軌道相互作用による混合と結合効果を二次摂動による計算で求めた“Golding constant"(Sz)と良い相関関係を示した。このLnW10シリーズの2-Octanolに対する酸化活性はまたLn-O-W伸縮バンドに近似的に対応するようにみえる。現在これらの相関関係の物理的意味について、特にLnの化学作用の観点から、検討している所である。
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