Project/Area Number |
06243202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 博 東北大学, 科学計測研究所, 講師 (40201991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 正廣 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (60167707)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ハロゲン架橋金属錯体 / ソリトン / ポーラロン / 光電子分光 / 電子格子相互作用 |
Research Abstract |
擬一次元ハロゲン架橋金属錯体の中で、パイエルス変形を起こさないNi錯体([Ni(chxn)_2X]X_2:X=Cl,Br)において良質な単結晶を作製し、その電子構造とキャリアの性質について詳しく調べた。基本的な電子構造を明らかにするために、X線光電子スペクトルおよびオージェスペクトルを測定した。その結果、このNi錯体が電荷移動型の絶縁体であること、Niイオンのオンサイトクーロン反発Uは約5eVと評価されることがわかった。また、ギャップより低エネルギー側の赤外域の吸収スペクトルを詳しく調べたところ、少量のキャリアの存在によると考えられる吸収(いわゆるミッドギャップ吸収)が観測された。熱起電力の測定から、このキャリアは電子であり、これらは電子格子相互作用によって緩和した一種の電荷ソリトンになっていると考えられる。一方、同じ錯体を光励起すれば、電子と正孔の両者を生成することが可能である。光励起によって新たに生じる吸収(光誘起吸収)と上記の赤外吸収スペクトルを比較することによって、正孔が緩和したポーラロンによる光誘起吸収の存在が明かとなった。このようなキャリアに固有の吸収を詳細に調べることは、キャリアとスピンとの相互作用を明らかにする鍵になると考えられる。 さらに、Niの一次元スピン鎖による磁気的な性質を調べるために、帯磁率の温度変化および磁化測定を行った。帯磁率の温度変化の大まかな特徴は、温度に依存しない成分とキュリー成分の和で再現される。後者は、電子キャリアが低温で局在し一次元スピン鎖を寸断することによって、奇数サイトを含むドメインを生じさせるためである。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)