磁性ウラン化合物の電子状態とフェルミ面に関する理論的研究
Project/Area Number |
06244208
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山上 浩志 東北大学, 理学部, 助手 (20239867)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 磁性ウラン化合物 / バンド理論 / 電子構造 / フェルミ面 |
Research Abstract |
今年度の研究結果として密度汎関数法を基にした相対論的バンド理論を用いて、UPd_2Al_3の電子状態とフェルミ面についての計算を行った。 1.ウラン化合物UPd_2Al_3は反強磁性と超伝導状態が共存した系であり、その反強磁性モーメントが他の重い電子系の磁性化合物の磁性超伝導体に比べて0.85μ_Bと非常に大きな値をもつ。バンド理論では、相対論的効果とスピン分極効果が共存した系としてみなすことができる。この化合物におけるドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果の測定が行われ、少なくとも5つの振動数ブランチとそのサイクロトロン有効質量が観測された。遍歴5f電子の描像によりフェルミ面を計算し、そのdHvA振動数ブランチの起源を調べてみた。磁気的ブリルアン・ゾーンの効果を考慮してスピン分極効果を無視したが、角度依存性において全体の実験のブランチをよく説明し、それぞれのブランチの起源が明らかになった。サイクロトロン有効質量の計算結果とあわせ、基底状態におけるUPd_2Al_3の5f電子は遍歴磁性電子として振る舞うものと解釈される。 最後に、磁性f電子化合物、特に磁性ウラン化合物の基底状態でのフェルミ面と磁性モーメントについて系統的な研究を進めるため、Takedaにより提案された相対論的線形化APW(RLAPW)法をスピン・分極した系に拡張したSpin-Polarized Fully-Relativistic Linearized APW methodの定式化をした。RLAPW法ではスピンと平面波でラベルされた基底関数で展開されているため、収束のよいエネルギーを得るためには多くの基底関数を必要とするがスピンや軌道モーメントの任意の方向に変換するのが簡単であることが利点である。さらに、スピンの量子化軸がそれぞれの原子サイトで異なる相対論的noncollinearな磁性物質への拡張がかなり容易であることがわかった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)