Project/Area Number |
06256205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡野 栄之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60160694)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / strawberry / グリア細胞 / 分泌性蛋白質 / EGモチーフ / 軸索走行 / guidance cue |
Research Abstract |
ショウジョウバエstrawberry(sty)変異体は、P-エレメントのランダムな挿入による変異法により作製され、複眼の表面のrough eye phenotypeにより分離された。sty遺伝子産物は、EGFモチーフを有する分泌性蛋白質であり、神経系の発生過程において多様な機能を有する。本年度は、sty遺伝子産物の脳の細胞構築形成と光受容細胞の軸索走行における役割を検討した。ショウジョウバエ光受容細胞の軸索は、視葉の視葉板及び視髄に非常に規則正しい投射パターンを示す。我々はこの系を用いて、軸索走行制御機構の遺伝学的解析を試みている。ショウジョウバエstrawberry(sty)のloss-of-function型の変異体においては、網膜の光受容細胞から視葉への軸索の投射パターンの異常が観察された。同変異体においては、光受容細胞の軸索が脳の表層で留まり視葉へ侵入できず、また視葉板の構築にも異常がみられた。視葉のグリア細胞は、retinal innervation以前より軸索の走行予定径路に沿って存在し、グリア細胞特異的ホメオボックス蛋白質Repo遺伝子のloss-of-function型変異体(repo^1)においてstyのloss-of-function型の変異体と共通したretinal innervationの異常が観察された(即ち、styとrepo^1ともに光受容細胞の軸索が脳の表層で留まり視葉へ侵入できず、また視葉板の構築にも異常がみられた。加えて、repo^1の3齢幼虫期のoptic stalkにおいては、光受容細胞の軸索のdefasciculationが観察された)。これらのことより、グリア細胞は、光受容細胞の軸索走行のguidance cueとして働いていると考えられた。興味深いことに、sty変異体のlarval brainにおいては、Repo陽性細胞が消失していることが明らかとなった。従って、larval brainにおいてguidance cueとしてのグリア細胞がないために、styのloss-function型の変異体においては、repo^1同様、光受容細胞の軸索が脳の表層で留まり視葉へ侵入できないものと考えられた。また、sty遺伝子産物は胚発生期・幼虫期を通して脳内の視葉において発現しており、sty変異体においては、発現時期と部位に相当した胚発生期・幼虫期における脳の構築障害が認められた。現在、この表現型と未分化なグリア細胞あるいはその前駆細胞の消失の因果関係を検討している。
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