Project/Area Number |
06260235
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小松 由起夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90135343)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 長期増強 / 抑制性シナプス / 視覚野 / 可塑性 / 発達 |
Research Abstract |
大脳皮質視覚野の抑制性シナプスに長期増強が生じることを我々は最近見いだしている。本研究では、この長期増強が発達期の視覚反応への可塑的変化に関与する可能性を検討するために、その年齢依存性を調べた。 ラット視覚野切片標本において、興奮性シナプス伝達をグルタミン酸受容体阻害薬によりブロックし、IV層の電気刺激により誘発される抑制性シナプス後電位(IPSP)をV層細胞から細胞内記録した。条件刺激として一方の電極に50Hz,1秒間のテタヌス刺激を10秒間隔で10回加えた。試験刺激の強さはIPSPを引き起こす閾値の1.2-1.8倍(1.2-1.8T)の強さを用い、条件刺激にはそれより強い刺激を用いた。 ラットでは生後10日(P10)前後に目が開き、それに一致して視覚野の細胞からIPSPが記録されるようになる。この時期(P11-14)からP20-30の発達期では、IPSPの長期増強は非常に起こりやすく、弱い条件刺激(1.2-1.8T)で約半数の細胞に、強い条件刺激(5T)でほとんど全ての細胞に生じた。成熟ラット(P60-80)では長期増強は非常に起こり難く、5Tの条件刺激ではほとんど起こらず、非常に強い条件刺激(10-15T)でも約半数の細胞に生じるだけであった。この様に成熟とともに長期増強の発現頻度は著しく低下したが、発現した長期増強の時間経過や大きさは発達期のものとほとんど差がなかった。 以上より、抑制性シナプスの長期増強は年齢に強く依存しており、発達期に非常に起こりやすいことが明かとなった。最近、ラットにおいても発達期に暗闇で育てると視覚野細胞の反応選択性が低下することが報告されている。したがって、抑制性シナプスの長期増強は視覚体験による視覚野細胞の反応選択性の向上に役立つものと思われる。
|